中級

エクセルで作ったブックを
探すムダな時間を減らす
ファイリングのコツ


(約文字)

2018-10-15 2019-05-20

Excelのファイリングで時短するためのコツ。

Excelのファイリングで時短するためのコツ。

次回のExcel作業をする前の書類を探す手間を省くために、紙媒体を中心に探しやすい書類のファイリングのコツを説明します。電子媒体の管理方法も紹介します。

1.ファイリングのよくある問題

どこの組織にも潜んでいる、ファイリングのよくある問題点を洗い出してまとめると、以下のような内容が多いのではないでしょうか。

  • ・ファイルが個人持ちとなっていて、関係者がその情報を有効的に活用することができていない。
  • ・ファイルの背表紙に記載がないとか、命名ルールが曖昧なので、他社が見ても何が入っているか理解出来ない。
  • ・そもそもファイルの保管場所がどこにあるのか分からないので、情報を保管したり、探したりすることが困難。
  • ・古い情報を捨ててしまっていいのか、誰がいらなくなった情報を捨てるのか、明確になっていない。
  • ・何があるのかわからず、不要となった古い情報も、個人の机の上平置きになっているので、必要な時に探し出すのに時間がかかる。

この様に、ファイリングとは言えない状態になっているのが、ファイリングに課題のある組織の状態だと思います。

2.ファイリングとは何か?

ファイリングとは、簡単に言えば「文書の整理・整頓の事」です。言葉で説明するのは簡単ですが、実際に構築から維持していくのは、なかなか難しいのがファイリングです。 そこで、まずファイリングについての「3つの基本原則」を理解してください。とても大事な事ですので、じっくりと呼んで他社に説明できるようなレベルで、納得しておいてください。

原本管理

原本管理を行えば情報管理がより厳格になり、欠落や紛失の発生が判明し易く、情報漏洩のリスクを減らくことも可能です。 部門内で原本を一部だけ管理します。書類は環境保護やコスト面から可能な限りのコピーを作らない様にします。

共有管理

特定の者が情報を持っているのではなく、関係者全員で情報を共有することで、担当が不在時の対応がスムーズに行われれます。 又、整然したファイリングは、知的生産性が高い職場環境ができ、眠っていた情報が活用や、重複した資料作りの手間が減り、仕事のスピードやクオリティーが高まります。

ライフサイクル管理

書類のライフサイクルを整理すると、仕事の流れが明確になりプロセスが把握できるので、分散化された業務が体系化され、新たな提案が生まれやすく仕事の改善が進みやすくなります。 文書のライフサイクルは「発生→伝達→使用→保管(使用頻度”高”)→保存(使用頻度”低”)→廃棄」の流れが基本です。ちなみに保管と保存の違いは以下になります。

保管とは

身近なオフィスなど置き、使用頻度が高い書類。すぐに使う文書を仕事をしている近くにおき管理している状態です。

保存とは

書庫などにある程度長期間置いておく書類。あまり使われない文書を、法規制・お客さまと取り決め・社内ルールに従い、期日まで管理する事です。

3.ファイリングの効果

ファイリングが適切に持続され、仕組み、道具立て、やる気が統制されると、「必要な書類がすぐ見つかる」「必要な文書が活用できる」「少ないスペースで保管、保存できる」「大事な情報が紛失・欠落しない」等の効果が生まれ、組織の生産性向上に寄与します。 実際に存在するA社の例ですが、紙媒体の書類を保管するスペースの削減と、書類を探す時間の削減により、年間で約1,400万円の削減効果を生み出しています。削減効果の詳細は以下です。

書類を保管するスペースの削減

創業から10年以上経過し、過去に大掛かりな書類の整理をしたことがないオフィスの場合、重複書類や未使用書類を廃棄することで、書類の量を約50%に減らすことが出来ると言われています。

削減スペース:44.1平米(500m→250m:50%削減)
坪単価:151,515円/平米(坪単価500,000円)
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計6,681,818円/年

書類を探す時間の削減

一般的なオフィスではひとりの社員が一日当たり平均20分程度書類を探していると言われますが、適切なファイリングにより探す時間を半分以下に減らすことが出来ます。

削減時間:10分/人(20分→10分:50%削減)
稼働日数:245日
従業員数:100名
平均賃金:30円/分(時給1,800円)
------------------------------------
計7,350,000円/年

4.書類を削減する方法(整理)

”書類”を削減には”整理”が大事です。まず「書類」と「整理」の意味を理解する必要があります。

書類とは

書類には「仕事を進めるために常に最新にメンテナンス(維持)しておく書類」と、「仕事の結果を記録し最終版を保持しておく書類」の2種類があります。 書類の保管は紙媒体でも電子媒体でも構いませんが、改ざん、紛失、盗難のリスクを考慮したルールを定め管理する必要があります。 一般的に必須となる書類は、以下の種類があります。

  • ・国の法律や都道府県や市町村の条令で定める書類
  • ・顧客からの提出や保管の要求がある書類(非明示も考慮する)
  • ・ISO9001や14001で要求がある書類(文書化した情報を維持or保持)
  • ・各組織のルールで定める書類

整理とは

整理とは、5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)の一つで「必要なもの」と「不要なもの」に分けて、不要なものを捨てることです。沢山持ちすぎていると管理しきれないので、必要な物だけにして管理するのがスマートです。

書類を削減(整理)する手順

  • 手順①:全ての書類に”赤紙(付箋など)”を貼る。
  •  
  • 手順②:使った書類の”赤紙(付箋など)”を剥がす(必要な書類」とする)。
  •  
  • 手順③:ある期間(例えば3か月)過ぎても”赤紙(付箋など)”が貼ってある書類は処分する(「不要な書類」となる)。

5.ファイリングの方法(整頓)

書類のファイリングには”整頓”が大事です。まず「整頓」の意味を理解しておく必要があります。

整頓とは

整頓とは、「必要なものをすぐ使えるように、決まった場所に置くこと」です。置く場所を決める、置くものを表示することです。 フローは「整理で必要な物だけにする→整頓で決まった場所に置く」で進めると上手く確立が上がります。この順で実施しないと失敗します。

ファイリング方法の統一

ファイリング方法は、組織全体でルールを定めて、統一することが大切です。部署ごとにバラバラのルールでファイリングした場合、部署の統廃合があった場合、全面見直しが必要になるので二度手間です。 紙媒体も電子媒体でも、文書の分類、保管、保存、廃棄、アクセス権限など、共通ルールで実施することで、はじめて統制された文書管理が出来ます。

6.紙媒体の管理方法

使用した書類の原本は、保管又は保存します。保存する場合のラベリングは、分類、件名、所有者、年度、ロケーションなどを表示しておくと、後で探しやすくなります。 保管や保存の方法は、一般的にバーチカル方式と、バインダー方式があり、どちらも一長一短がありますので、目的にあう方法を選択して、書類を保管・保存しましょう。

バーチカル(垂直)方式

フォルダに文書をまとめて、キャビネットやファイルボックスに、垂直に立てて並べる方法です。 バーチカル方式の利点は、文書の追加や検索及び取り出しがしやすい事です。 バーチカル方式の欠点は、文書の量に関係なく、キャビネットやファイルボックスの厚さの分だけ、スペースが必要になってしまうことです。

バインダー(薄冊)方式

書類に穴を開けて、バインダーに入れ、背表紙に情報を入れて書棚に並べる方式です。 バインダー方式の利点は、バインダー内の書類の順番がバラバラになりにくい事です。 バインダー方式の欠点は、書類に穴を開けるので文字が欠ける場合がある、文書量に関係なく、バインダーの厚さ分だけ、スペースが必要になってしまうことです。

7.電子媒体の管理方法

書類を電子媒体で管理するのは紙媒体と考え方は一緒で「整理」と「整頓」が基本ですが、電子媒体として更に必要な事は「サーバーで保管」「タイトルとファイル名の整合」「識別番号の割り当て」により管理がしやすくなります。

サーバー(ローカル又はクラウド)に保管する

関係者全員がアクセスできるネットワークを構築して、共有サーバーにファイルを保管するようにします。小さな組織やサーバーのスキルをもった社員がいない場合は、外部のクラウドサーバーに保管する事で、サーバーの管理が簡単に行えるようになります。 サーバーに保管する利点は、全員で共有できる、バックアップが容易、アクセス権限が管理がしやすい等ですが、欠点は、他者に削除されてしまう、誰にでも見られてしまう、サーバー管理のコストがかかる、セキュリティー面のリスクが高まるなどがあります。

サーバーはフォルダを分類し管理する必要があり、仕事別に会社全体のマネジメントサイクルを考慮してフォルダーを作成するといいでしょう(例えば、経営関連(方針、評価、改善)、事業関連(計画、顧客関連、設計管理、購買、製品実現orサービス)、支援関連(人的、インフラ、情報、お金))。 但し、フォルダーの階層が深すぎると辿り着くのが大変になるので、3階層程度までに収まるようにしましょう(例えば、大分類-中分類-年度など、上記の例であれば、経営関連-経営方針-YYYY年度)。

文書のタイトルとファイル名をあわせる

ファイルの名前と、文書のタイトルを同じにしておきましょう。又、タイトル名はその内容が想像できるものにしましょう。 タイトルの文字数は、短いと内容が伝わらないですし、長いと認識するのが大変なので、10~15文字程度にしましょう。

紙媒体で管理する場合、後からファイルを探すときに、印刷物に記載されたタイトルとファイル名が同じだと、見つけやすくなります。 又、ヘッダーやフッターにファイルの保存場所を示すファイルパスを印刷しておくと、場所がピンポイントで判るのですぐ見つかります。

必要により識別番号を割り当てる

全社または業務毎の識別番号のルールを決めておけばさらに識別がしやすくなりますし、統一番号でなくても自分で番号体系を決めて文書を識別すれば良いと思います。 ファイル名は「文書番号」+「版数/日付(YYYYMMDD)」+「文書タイトル」+「拡張子(.xlsx/.docx)」とすれば、見つからないということはまずありません。

この記事は以上です。最後までご覧頂き、ありがとうございました。