【Excel】標準偏差の求め方 STDEV関数、STDEV.S関数、STDEVP関数、STDEV.P関数を使った出し方
約~分
(約文字)
2016-10-31 2019-07-22
- Keyword
- Excel
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【Excel】標準偏差の求め方 STDEV関数、STDEV.S関数、STDEVP関数、STDEV.P関数を使った出し方
- 「エクセルで標準偏差を求める方法が解らない」
- 「サンプルから標準偏差を出す方法は?」
- 「母集団の標本の標準偏差を求める関数は何を使えばいいの?」
これらを解決するのがSTDEV関数(STDEV.S関数)、STDEVP関数(STDEV.P関数)です。
この記事を読めば、エクセルで標準偏差を求める疑問や問題を解決できます。
更に、偏差値の出し方も解説します。
説明に使ったエクセルファイルです。ダウンロードして自身の端末で確認してみてください。
この記事の目次
1.【知識】標準偏差とは
全体の状態を表すのに平均値だけでは情報不足
”平均”は全体の中心がどこわかりますが、「値が中心部に集まっている」のか「全体にばらついている」のかは分かりません。
逆に言えば、中心部に集まっていても、全体にばらついていても、平均が同じことはありうるわけです。
例えば10人にテストをした場合、
- 【国語】10人全員が50点→平均は50点
- 【数学】5人が100点、残りの5人が0点→平均は50点
どちらも平均点は50点ですが、その後の対応も変わってくるでしょう(国語は全員の底上げが必要、数学は0点の5人は留年)。
標準偏差の考え方
こんな場合に、散らばり具合(ばらつき)を表すのが標準偏差です。
上記の国語と数学の標準偏差(σ)は以下になります。
- 【国語】10人全員が50点→平均は50点→標準偏差(σ)は0
- 【数学】5人が100点、残りの5人が0点→平均は50点→標準偏差(σ)は50
この様に、同じ平均点でも標準偏差は「0」と「50」と全く別であるのが解ると思います。
標準偏差 | ばらつき | 平均値から |
---|---|---|
大きい | 大きい | 離れている |
小さい | 小さい | 離れていない |
標準偏差には2種類ある
標準偏差は偏差を計算する対象の値の選び方で、「標本(サンプル)の標準偏差」と「母集団の標準偏差」の2種類があります。
それぞれについて、以下で説明します。
2.【知識】標本(サンプル)の標準偏差
標本(サンプル)の標準偏差とは?
標本(サンプル)の標準偏差とは「母集団から抜き取った標本(サンプル)の値が、平均値の周辺にどのくらい散らばっているか」を表す値です。
簡単に言えば、抜き取ったサンプルから母集団全体のばらつき具合を表すのが標本の標準偏差で記号「s」で表されます。
エクセルでは「STDEV関数(スタンダード・ディビエーション カンスウ)」又は「STDEV.S関数(スタンダード・ディビエーション・エス カンスウ)(Excel2010以降のみ)」で求められます。
標本の標準偏差が使われる場面
例えば、製造業などでコストを考慮し行われる「抜取検査」で入手した値の標準偏差を求める場合です。
抜き取ったサンプルの値なので、サンプル数が少ないと精度が低くなってしまいますが、測定時間が短くて済みます。
3.【知識】母集団の標準偏差
母集団の標準偏差とは?
母集団の標準偏差とは「母集団の値が、平均値の周辺にどのくらい散らばっているか」を表す値です。
簡単に言えば、母集団全体のばらつき具合を表すのが標本の標準偏差で、記号「σ」で表されます。
エクセルでは「STDEVP関数(スタンダード・ディビエーション・ピー カンスウ)」又は「STDEV.P関数(Excel2010以降のみ)(スタンダード・ディビエーション・ピー カンスウ)」で求められます。
母集団の標準偏差が使われる場面
例えば、製造業などで品質リスクを考慮し行われる「全数検査」で入手した値の標準偏差を求める場合です。
母集団全体の値なので、サンプル数が多く精度が高いですが、測定時間が長くかかってしまいます。
エクセルの関数はSTDEVP関数又はSTDEV.P関数を使います。
3σ(サンシグマ)や6σ(ロクシグマ)
3σや6σはこの母集団に関連するキーワードです。
母集団の分布が正規分布(平均を中心とした左右対称の分布)であるとわかっている場合、以下の事が言えます。
例えば不良が発生する確率に関して言えば、
- 平均±1σ(2σ)に入る確率は約68.3%(3個に1つ不良品が混じる)
- 平均±2σ(4σ)に入る確率は約95.4%(20個に1つ不良品が混じる)
- 平均±3σ(6σ)に入る確率は約99.7%(1千個に3つ不良品が混じる)
- 平均±4σ(8σ)に入る確率は約99.93%(1万個に7つ不良品が混じる)
この様になります。
4.【基礎】標準偏差の求め方 STDEV関数の使い方
STDEV関数の基本的な使い方は、標準偏差を表示したいセルに、関数の基本構文を入力すれば、指定したセルに標準偏差が表示されます。
対応バージョン
- 365
- 2019
- 2016
- 2013
- 2010
- 2007
基本構文
STDEV関数の基本構文は以下の様に指定します。
=STDEV(数値)
引数
STDEV関数の引数(数値)には、標本(サンプル)から得られた値を指定します。
5.【基礎】標準偏差の求め方 STDEV.S関数の使い方
STDEV.S関数の基本的な使い方は、標準偏差を表示したいセルに、関数の基本構文を入力すれば、指定したセルに標準偏差が表示されます。
対応バージョン
- 365
- 2019
- 2016
- 2013
- 2010
基本構文
STDEV.S関数の基本構文は以下の様に指定します。
=STDEV.S(数値)
引数
STDEV.S関数の引数(数値)には、標本(サンプル)から得られた値を指定します。
6.【基礎】標準偏差の求め方 STDEVP関数の使い方
STDEVP関数の基本的な使い方は、標準偏差を表示したいセルに、関数の基本構文を入力すれば、指定したセルに標準偏差が表示されます。
対応バージョン
- 365
- 2019
- 2016
- 2013
- 2010
- 2007
基本構文
STDEVP関数の基本構文は以下の様に指定します。
=STDEVP(数値)
引数
STDEVP関数の引数(数値)には、母集団全体から得られた値を指定します。
7.【基礎】標準偏差の求め方 STDEV.P関数の使い方
STDEV.P関数の基本的な使い方は、標準偏差を表示したいセルに、関数の基本構文を入力すれば、指定したセルに標準偏差が表示されます。
対応バージョン
- 365
- 2019
- 2016
- 2013
- 2010
基本構文
STDEV.P関数の基本構文は以下の様に指定します。
=STDEV.P(数値)
引数
STDEV.P関数の引数(数値)には、母集団全体から得られた値を指定します。
8.【参考】エクセルで偏差値の出し方
標準偏差を使って偏差値を求めたいと思います。
まず基本として100点満点のテストにおける偏差値は、次式で求めることが出来ます。
この偏差値をエクセルを使って求めるには、以下の手順です。
- 【手順①】平均点を求める
- 【手順②】標準偏差を求める
- 【手順③】偏差値を求める
- 【手順④】偏差値の数式をコピーする
次項ではそれぞれの手順を詳しく説明します(氏名”あ”さんを例に説明)。
【手順①】平均点を求める
まずは平均点を求めます。平均点はAVERAGE関数を使うと、簡単に求めることが出来ます。
=AVERAGE(B5:B34)
【手順②】標準偏差を求める
次に標準偏差を求めます。ここでは母集団の標準偏差を求めるのでSTDEVP関数又はSTDEV.P関数を使います(ここでは昔のバージョンのExcelでも使えるように「STDEVP関数」を使います)。
=STDEVP(B5:B34)
【手順③】偏差値を求める
最後に偏差値を求めます。上記の公式に、自分の特点(B5)、平均点(B1)、標準偏差(B2)を指定します。
=(B5-B1)/B2*10+50
【手順④】偏差値の数式をコピーする
後は偏差値を求め数式(C5)を全員にコピーします。(ここで示している計算式には、エラー処理と絶対参照を設定してあります。)
まとめ
このページでは、エクセルの「標準偏差の求め方 関数を使った出し方」について、以下を解説してきました。
- ・標準偏差とは散らばり具合(ばらつき)を表すし「標本の標準偏差」と「母集団の標準偏差」がある
- ・標本の標準偏差とは「母集団から抜き取った標本(サンプル)の値が、平均値の周辺にどのくらい散らばっているか」を表す値
- ・母集団の標準偏差とは「母集団の値が、平均値の周辺にどのくらい散らばっているか」を表す値
- ・標準偏差を求める関数には4つあるが、選択時の注意点は、①母集団かサンプルか、②エクセルのバージョンは?の2点を気を付ける
- ・偏差値の出し方は①平均点→②標準偏差→③偏差値→式のコピーの手順で求められる
ご理解いただけましたでしょうか?
次は、あなたが実際にエクセル上で実際に作業してみて下さい。 自分の手を動かすことが、パソコンスキル向上の近道です。
この記事は以上です。