エクセルを活用した
働き方改革のコツ
約~分
(約文字)
2018-03-21 2019-05-20
エクセルで時短を進めるコツを紹介。
コンピューターが得意な処理を知り、人の動きや現状作業を改善の視点で把握し、時間短縮を進めることによる、働き方改革のコツを紹介。
1.「働き方改革」
エクセルに特化せず、広い視点で、ムダを無くし、業務の改善を進めれば、パフォーマンスが向上し「働き方」の改革や「ワークライフバランス」の改善が出来ます。
エクセルのスピードップ/効率化のテクニックは本サイトでも紹介していまが、ここではエクセル作業に特化せず、少し視野を広げて、私が実践している「時間短縮のコツ」を伝えたいと思います。
全体的(俯瞰的)な視点から作業を見直し、会社の売上げや利益に大きく貢献できれば、あなたの評価が上がり「昇給」や「昇進」という形であなたの”懐”も潤うでしょう。
『マネジメント』や『もしドラ』でも有名な「ドラッガー」氏の言葉ですが「少ない労働(短時間/少人数)で大きな結果を生むことが会社の売上や利益に貢献する事になる。」と言っています。
又、作業の時間が短縮出来れば仕事のストレスが減り、自分に使える時間が増え、豊かな生活が出来るようになるでしょう。
2018年現在、国会では「働き方改革」を議論中です。2018年3月現在、厚生労働省のホームページには以下のような記載があります。
- 我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
- こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
出典:「働き方改革」の実現に向けて|厚生労働省
私が考える「働き方改革」は、「付随作業」を徹底的に減らし、「ムダな作業」を完全にゼロにすることで、「働き」が付加価値を最大に生み出し、生産性を極限まで向上させることだと思います。 「日本」の競争力を高める為の大きな課題の一つでしょうから、皆さんが出来るのは「あなた個人」の競争力を高めることでしょう。その為に、今の業務プロセスを継続的に改善していく必要があります。
2.コンピューターが得意な3つの処理
時間短縮にあたり、コンピューターが得意な処理は3点あります。これらを考慮しエクセルで作業をすることを選択します。コンピュータが不得意な作業は人が処理したほうが早いでしょう。
2-1.沢山の情報を「高速に」「正確に」処理
昔の紙媒体がメインの時代での経理処理は、一覧表を作って合計する場合、”そろばん”や”電卓”で計算する必要がありました。 もし修正や変更があれば、その都度、再計算の必要がありました。これはヒューマンエラーにより、計算ミスが発生しやすいハイリスクな状態でした。
現在の電子媒体の時代では、コンピューター上でエクセルを使いシートのセルに必要な計算式や数値を入力すれば、何度でも繰り返し計算が出来るようになりました。 この方法で修正や変更があっても、数値を入れ替えるだけで、再計算はコンピューターが自動で行ってくれます。又、コンピューターはミスをしませんので正確な処理ができます。
2-2.離れた場所でも情報共有(シェア)
インターネットが普及する前は、遠くへ情報を渡すために、電話通信、飛脚や郵便、灯台の光、等、様々なアナログ的な方法で行っていました。 インターネットが普及して20年以上経った現在は、電子メール、ホームページ、ブログ、最近ではSNSなどより、瞬時に沢山の情報を遠くまで運ぶことが出来るようになりました。
2-3.誰でも簡単に情報を扱える
コンピューターとはCPU(中央処理演算装置)で処理されるもの全て、コンピューターと言えます。 皆さんの目の前にあるノートパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン(Android、iPhone)、タブレット(iPad)などは全てCPUが搭載されています。 IoT機器(全ての物をインターネットに繋げる概念)や、AI(人工知能)にもコンピュータが搭載されます。
これを開発するのは一般の方には簡単ではありませんが、これらの機器(ハードウェア)を購入すれば、便利なソフト(アプリケーション)や、使いやすいOS(オペレーティングシステム)と共に、 誰でも簡単に情報を扱うことが出来ています。ただし、誰でも情報を簡単に扱うことが出来る反面、エクセルを使いこなすには、それなりの時間や金銭的な投資が必要になります。
3.人の動きは3種類
コンピューターの得意なことに続き、コンピュータを扱う”人”を分析してみます。 人の動きには大きく分けて「働き」「付随作業」「不要な作業」の3種類があります。
3-1.「働き」
働きとは「付加価値を生む、何かをしている状態」です。モノづくりの現場やエクセルの作業では次の事項にあたります。
3-1-1.モノづくりの現場における「働き」
- 材料に穴をあける
- 部品をネジで組み立てる
- 仕上げ処理する
3-1-2.エクセル作業における「働き」
- セルに情報を入力する
- 計算式や関数を組み立てる
- 文字やセルを装飾する
これらの付加価値を生む動きの「働き」を最大限にし、さらに効率を極限まで高めることで、あなたの働きによる会社への貢献度が高まります。
3-2.「付随作業」
付随作業とは「付加価値は無いが、現在の状態では必要で行わなくてはならない作業」です。運ぶ/伝える、段取る/準備する、検査する/確認する、等があります。
3-2-1.モノづくりの現場における「付随作業」
- 部材に穴を開ける為に、加工前の部材を箱から出す、状態を確認する、冶具に取り付ける、(穴をあける)、冶具から取り外す、状態を確認する、加工した部材を箱に戻す
- 部品をネジで組み立てるために、組立前の部材を箱から出す、状態を確認する、冶具に取り付ける、ドライバーを持つ、ネジを持つ、(組み立てる)、ドライバーを離す、冶具から取り外す、状態を確認する、組み立てた部材を箱に戻す
- 仕上げ処理のために、部材を箱から出す、状態を確認する、(仕上げる)、状態を確認する、仕上げた製品を箱に戻す
3-2-2.エクセル作業における「付随作業」
- セルに情報を入力する為に、情報を集める、ファイルを開く、シートを選択する、セルを選択する、(セルに入力する)、状態を確認する、ファイルを保存する、ファイルを閉じる
- 計算式や関数を組み立てる為に、ファイルを開く、シートを選択する、セルを選択する、(計算式や関数を入力する)、状態を確認する、ファイルを保存する、ファイルを閉じる
- 文字やセルを装飾する為に、ファイルを開く、シートを選択する、セルを選択する、(装飾する)、状態を確認する、ファイルを保存する、ファイルを閉じる
この様に付加価値を生む「働き」のために、多くの「付随作業」(物の精度や、情報の意味を確認する、物を運んだり、情報を伝える)が必要で、多くの部分が付随作業と言っても過言ではありません。
3-3.「不要な作業」
不要な作業とは「物や情報の付加価値を生まない状態」で、「ムリ」「ムラ」「ムダ」に分解でき”3ム”と呼ばれ効率を妨げる要因となります。
- ムリ:異常、過負荷、不健康、違反、理屈に合わない
- ムラ:バラツキ、不安定、不揃い、下手、未熟
- ムダ:損失(経済的に)、役に立たない(”ムリ”と”ムラ”はムラのひとつ)
3-3-1.モノづくりの現場における「不要な作業」
- 不要な物を作るムダ(不要な作業)
- 不良品を修正するムダ(不要な作業)
- 物を探すムダ(不要な作業)
- 物の到着を待つムダ(不要な作業)
- 物の精度を確認するムダ(※これは現在必要な作業なので付随作業に分類)
- 物を運ぶムダ(※これは現在必要な作業なので付随作業に分類)
- 物を蓄積するムダ(※これは現在必要な作業なので付随作業に分類)
3-3-2.エクセル作業における「不要な作業」
- 不要な情報を作るムダ(不要な作業)
- 間違った情報を修正するムダ(不要な作業)
- 情報を探すムダ(不要な作業)
- 情報の到着を待つムダ(不要な作業)
- 情報を確認するムダ(※これは現在必要な作業なので付随作業に分類)
- 情報を伝えるムダ(※これは現在必要な作業なので付随作業に分類)
- 情報を蓄積するムダ(※これは現在必要な作業なので付随作業に分類)
不要な作業を「減らす」「無くす」方法は、テイラー・ギルブレス氏の”IE(Industrial Engineering:産業工学)”が有名です。不要な作業を無くし、効率を上げることで、働き方の改善や改革に繋がります。
4.改善の4原則
コンピュータの得意分野、人の動き(働き/付随作業/不要な作業)、現状の作業プロセスを考慮し、改善する必要があります。 改善には4つの原則「1.排除」「2.結合」「3.交換」「4.簡単」があり、「1.排除」→「2.結合」→「3.交換」→「4.簡単」の順で改善するのが一番効果的です。
4-1.排除
排除とは、まず「その作業をやめられないか?」と考え、やめることでどんな問題が起きるのかを考えます。 作業の流れや作業の詳細から検討すると、多くの排除できるものが見つかります。 「情報連絡の必要性」「事前の検討が不足している」「過剰な品質の確保」等の視点で、不必要な作業や二度手間な作業を見つけて”排除”しましょう。
4-2.統合
次に「まとめてできないか?」「一か所に集中できないか?」「組み合わせを変えられないか」を考えて時間の短縮を検討します。 「バランスは良いか?」「待ち時間を使えないか?」「ツールは使いやすいか?」等の視点で、作業の”統合”を考えましょう。
4-3.交換
更に、作業順序を変更したり、他の方法に換えることで効率性の向上を考えます。 作業順序を変えることで他の作業を減らせたり、同じ機能を満たす他の方法に換えてみる方法です。
4-4.簡素
もっとシンプルに出来ないかを検討し、品質、時間、教育を考慮したうえで、作業の簡素化を考えます。 これは作業の流れの視点ではなく、作業内容詳細の見直しとして考えます。
5.現状の作業プロセスの把握
現状のプロセスを分析する場合、プロセスに含まれる業務をブレストやKJ法により紙に書きだし、実際の順番に並べて、各業務に必要なインプット(物や情報)と、各業務の結果のアウトプット(物や情報)を書き出すと、整理しやすくなります。
5-1.プロセスの分析の注意点
- 「大きさと階層」大、中、小とか高、中、低とかの大きさやレベルを考慮する。
- 「必要な物/情報」→「プロセス」→「結果の物/情報」と分ける。
- 「相互関係」として、あるプロセスのアウトプットは次のプロセスのインプットになる。
5-2.ブレストで洗い出す
5-2-1.ブレストとは
ブレストとは、ブレインストーミング(Brainstorming)の略で、アイデアを出すための会議の手法です。 他の人のアイデアからの連鎖反応で、どんどん新しいアイデアを生み出すことが可能な手法です。
5-2-1-1.ブレストのルール(4原則)
ブレストには4つのルールがあり、参加者全員がこの4原則を守ることが新しいアイデアを生み出すことになります。
- 他者のアイデアを批判しない
- 重視するのは質よりも量
- 連想したり結合していく
5-2-1-2.ブレストの進め方
- 1.ブレストの目的を明確にする(テーマ/課題を決める)
- 2.参加メンバーを集める(参加者は多様性をもつ方々)
- 3.時間を意識する(事前に期限を設定する)
ルールに則り、進め方に従い、付箋紙(ポストイットなど)一枚にひとつのアイデアを書き出していきます。
出典:「ブレスト」のルールと進め方|creive
5-3.KJ法で関係を整理する
5-3-1.KJ法とは
KJ法とは、考案者である川喜田二郎氏の頭文字(Kawakita Jirou)からつけられた名称です。 ブレストなどで得たアイデアや発想を整理することが出来、問題の解決に結びつけることが出来る手法です。
5-3-2.KJ法の進め方
5-3-2-1.グルーピング(統合化)
- ①各アイデアの意味の近いものを重ね小グループにし、タイトルを付ける。
- ②小グループの意味の近いものを重ねて中グループにし、タイトルを付ける。
- ③中グループの意味の近いものを重ねて大グループにし、タイトルを付ける。
- (※大グループが10程度まで)
5-3-2-2.並び替える(図解化)
- ①意味が近い大グループは近づける、遠い大グループは離す
- ②共通する大グループをペンで囲み3~4個の島を作る
- ③出来た島にタイトルを付ける
- ④島や大グループの関係性を線/矢印で結ぶ
5-3-2-3.言葉にする(文章化)
出典:これでもう失敗しない!KJ法の正しいやり方と注意点|アイデア総研
- ①線/矢印で結んだものを中心に
- ②接続詞(~だから、~なので)で繋げて言葉にする
- ③すべての島や大グループに言及する必要はない
6.時間短縮のコツ
時間短縮のポイントは「標準化」です。紹介する作業プロセスの流れも、私が標準化したプロセスのフローです。 標準化とは、作業者の働き、前プロセスからの情報、エクセルの機能を考慮し、「期限までに」「安全に」「高品質に」「安価で(短時間で)」、アウトプットする方法です。
知っている人、出来る人にとっては当たり前ですが、いままで意識したことが無い方には、改善のきっかけにしていただければと思います。 短期的には標準化を考える時間が増えてしまうかもしれませんが、中期的/長期的には時間短縮が可能です。
以下をよく考えて時間短縮を目指しましょう。
- 完成物への要望/期待
- 必要となる知識や情報
- あなたの能力(スキル/経験)
- 使う道具(パソコンやエクセル)
- 作業の順や作業の方法
この記事は以上です。最後までご覧頂き、ありがとうございました。