【Excel】引数とは何か?引数の様々な疑問を解決
約10~11分
(約5700文字)
2009-07-09 2019-07-04
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- Excel
- 引数
- 多すぎる
- 文字列
- 固定
- 上限
- 読み方
- 返り値

エクセルの関数で避けては通れない「引数」を初心者向けに解説。
この記事では、エクセルの引数について基礎から応用まで解説します。
エクセルの関数を使うときに引数って必ず出てくるけど、初心者には理解できず、色々とモヤモヤすることが多くはないですか?
そんなエクセル初心者の引数の悩みを解決するのがこの記事です。
この記事を読めば、引数の読み方や引数とは何かの知識が身に付き、引数の基本構文/指定場所/指定数/指定順や、引数の具体的な指定方法の基礎が理解出来ます。
更にセル番地を固定する方法、文字列を指定する場合に気を付ける点、「引数が多すぎる」とメッセージが表示された場合の対処方法なども解決できます。
この記事の目次
【知識】1.引数の読み方
まず始めに「引数」の読み方は”ひきすう”です。読みにくい言葉ですね。
私も初めの頃は「いんすう」と読んでいましたw。ちなみに英語では”argument”と訳されます。
【知識】2.エクセルの引数とは
①引数の基本
エクセルの引数は、関数にとって必要な情報です。(一部の関数は引数が不要です。例えばPI関数)(多い関数では4個必要です。例えば、VLOOKUP関数)
引数の意味ですが、簡単に言えば「関数に必要な材料」です。
難しい言い方をすれば「関数の外部からインプットされる情報」です。
関数には引数の他に「戻り値」があり、簡単に言えば、「関数からの答え」です。
難しい言い方をすれば「関数の内部からアウトプットされる情報」です。
②「引数」→「関数」→「戻り値」
例えば、「料理」という名前の「関数」があるとします(例えば、カレーライスを作る)。
「材料」の玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモ、お肉、カレー粉、お水、お米、などは「引数」です。
「カレーライス」は「戻り値」です。
これらの関係性を図で表すと、以下の関係になります。

「引数」「関数」「戻り値」のもっと詳しい関連については、以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
【基礎】3.引数の基本構文を理解する
①関数の基本構文をおさらい
まず関数の基本的な構文は以下になります。
=関数名(引数1,引数2,引数3)
②IF関数を例に引数の指定方法を理解する
条件により処理を分岐する「IF関数」の場合、引数は以下の様に指定します。
=if(C1>=80,"合格","不合格")
上記の括弧の内でにあるカンマにより区切られた三つの「C1>=80」「"合格"」「"不合格"」を「引数」と言います。
この場合、C1>=80が引数1、"合格"が引数2、"不合格"が引数3になります。
"合格"と"不合格"を「"」(ダブルコーテーション記号)で括る理由は、後で解説します。
【基礎】4.引数の指定に関する基本的なルール(場所/数/順番)
①引数を指定する場所
引数は、関数名の後ろに付けるカッコ「()」の中に指定します(例えば、SUM(引数))。
引数を複数の指定する場合は、カンマ「,」で区切ります(例えば、AVERAGE(引数1,引数2,引数3,...))。
②引数を指定する数
関数によって引数の数が違います。引数を複数持つ関数が多いです。
引数が無い”0”の関数から、多いと4つ必要な関数もあります。
引数を2つ以上指定する場合は、引数と引数の間に半角の”,”カンマ(ヒゲ付きの点)で区切ります。
この区切り文字は.(ドット)ではありませんので、間違えない様に注意して下さい。
③引数を指定する順番
引数を指定する順は関数毎に決まった並びがあります。
指定順を間違えると、エラーになったり、意図した答えが関数から返って来ません。
関数の説明をよく確認し、決められた順で引数を指定しましょう。
【基礎】5.引数の数ごとに指定方法を解説
①引数が無い”0”の関数の例
円周率を求める「PI関数」には引数が必要ありません。
=PI()
実際にエクセルに関数を入力してみると以下の様になります。

②引数が2つある関数の例
四捨五入を求める「ROUND関数」には、以下の様に引数の指定が3つ必要です。
=ROUND(引数1,引数2)
実際にエクセルに関数を入力してみると以下の様になります。

③引数が4つある関数の例
条件に一致したデータを抽出する「VLOOKUP関数」には、以下の様に引数の指定が4つ必要です。
=VLOOKUP(引数1,引数2,引数3,引数4)
実際にエクセルに関数を入力してみると以下の様になります。
引数が多くなると難しく感じてしまいがちですが、慣れれば解るようになりますので心配無用です。

【基礎】6.引数に指定出来る情報の種類
エクセルの引数に指定することが可能な情報は、以下の5種類です。
- ①セル参照(セル番地/セル範囲)
- ②定数(数値/文字列/論理値/エラー値/配列定数)
- ③論理式
- ④数式
- ⑤セルの名前
それぞれ解説します。
①セル参照(セル番地/セル範囲)
セル番地(単一のセル)
引数にセル番地を指定すると、そのセルに入力された”値”や”情報”が参照されます。
(例)=AVERAGE(A1,B2,C3,D4)
”A1,B2,C3,D4”のように、セル番地を半角文字の「,」(カンマ記号)で区切って指定します。
セル範囲(複数のセル)
引数にセル範囲を指定すると、そのセル範囲に含まれる全ての”値”や”情報”が参照されます。
(例)=SUM(B1:D10)
”B1:D10”のように、左上と右下のセル番地を半角文字の「:」(コロン記号)で区切って指定します。
②定数(数値/文字列/論理値/エラー値/配列定数)
数値
引数に「1000」「-5」「3.14」「120%」の様な定数を指定すると、その値が直に計算に使用されます。
(例)=AVERAGE(2345,"1,234",987)
文字列
引数に文字列を指定する場合は、文字列を「"」で括って指定すると、その文字列が参照されます。
(例)=TRIM("み ん な の エ ク セ ル")
もし空白を指定したい場合は、「""」の様に2つのダブルコーテーションをスペースを開けずに並べて指定すれば、空白として扱われます。
論理値
引数に論理値を指定する場合は「TRUE」「FALSE」を指定します。TRUEは真として、FALSEは偽として処理されます。
(例)=ISLOGICAL(FALSE)
エラー値
引数にエラー値を指定する場合は「#N/A」「#VALUE!」「#NUM!」「#REF!」「#DIV/0!」「#NULL!」「#NAME?」を指定します。
(例)=ERROR.TYPE(#NULL!)
関数の結果をあえてエラーにしたい場合に使用しますが、一般的には使うことはありません。
配列定数
配列定数とは決まっている値や文字を配列的な情報として数式内で指定することが出来る機能です。
引数に配列定数を指定する場合は、「値」や「文字列」を、「,」で列の区切り、「;」で行の区切り、全体を「{」「}」中カッコで括って指定します。
(例)=AVERAGE({1,2;3,4;5,6;7,8})
上の式の引数で指定した配列定数をエクセルのセルで表してみると、下図の様な2列4行の配列になります。

③論理式
引数に論理式を指定する場合は、「比較演算子(「=」「<>」「>」「<」「>=」「<=」)」を使って数式にしたもので、結果が真ならTRUE、偽ならFALSEを返します。
(例)=IF(B2>40,A3+80,A3-80)
AND関数を使って”論理式の全てを満たす場合”としたり、OR関数を使って”論理式の一つ以上を満たす場合”とする事も可能です。
④数式
引数に数式を指定する場合は「関数」や「算術演算子(「+」「-」「*」「/」「%」「^」)」や「文字列演算子(「&」)」等を使って、計算式を指定します。
(例)=ROUND(SUM(C2:C6)*108%,3)
関数の引数に関数や数式を指定できると(ネストや入れ子と呼ぶ)、計算の応用力が飛躍的に高まりますので、絶対に使いこなせるようなりましょう。
⑤セルの名前
引数にセル定義したセルの名前を指定することが出来ます。
(例)=AVERAGE(母集団)
【基礎】7.引数にセル番地を指定する方法
引数にセル番地を指定する方法は、以下の5種類あります。
- ①一つのセル番地
- ②一つのセル範囲
- ③複数のセル番地
- ④複数のセル範囲
- ⑤共通するセル範囲
それぞれの指定方法をSUM関数を例にして解説します。
①一つのセル番地を指定する方法
=SUM(A1)
セル番地をそのまま指定します。
②一つのセル範囲を指定する方法
=SUM(A1:B10)
左上のセル番地と右下のセル番地を「:」で区切って指定します。注意してほしい点はひげ付きの「;」ではありません。
③複数のセル番地を指定する方法
=SUM(A1,C5,E9)
セル番地を「,」で区切って指定します。注意してほしい点は「.」ではありません。指定できる最大数は255です。
④複数のセル範囲を指定する方法
=SUM(A1:B10,D15:E20)
左上のセル番地と右下のセル番地を「:」で区切って指定し セル範囲を「,」で区切って指定します。
⑤共通するセル範囲を指定する方法
=SUM(D2:E9 B5:G6)
スペースで区切られた二つのセル範囲に共通するセル範囲が引数になります。

【応用】8.引数のセル番地を固定する方法
引数に指定するセル番地を固定して、絶対参照や複合参照にするには、セル番地に「$」を指定します。
例えばA1セルを固定し絶対参照にするには以下の様に指定します。
$A$1
絶対参照/複合参照/相対参照については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
【応用】9.引数に文字列を指定する場合に気を付ける点
引数に文字列を指定する場合は、その文字列を「ダブルクオーテーション」で括ります。
"文字列"
例えば、条件によって「合格」「不合格」と表示させる場合は以下の様に指定します。
=IF(A1>=50,"合格","不合格")
文字は全角と半角どちらも「ダブルクォーテーション」で括って下さい。
【解決】10.エクセルから「引数が多すぎる」とメッセージが表示された場合
①「引数が多すぎる」と表示されるのはこの様な場合が多い
「この関数に対して、多すぎる引数が入力されています。」とメッセージが表示されるのは、その関数に必要な引数の数を超えて指定した場合です。

例えば、以下のようにIF関数等で、関数を入れ子にしている場合に、このメッセージが表示されやすいと思います。
=IF(A10>=0,ROUND(A10*1.08,2),"必要","不要") ←引数が多すぎるエラーの例
②「引数が多すぎる」と表示された時の対処方法のオススメ
「引数が多すぎる」と表示された場合の対処の方法は数式を分解する事をオススメします。
- 【手順1】エクセルで「引数が多すぎる」とメッセージが出る数式をコピーする
- 【手順2】メモ帳を起動し、コピーした数式を貼り付けする
- 【手順3】貼り付けた数式の「(」の後ろと、「)」の前で改行する
- 【手順4】最後に引数の区切りの「,」の後ろで改行する
この手順を行うと以下のような結果になります。

IF関数は引数が3つでよい所に、4つの引数を指定してしまっているので、「引数が多すぎる」とメッセージが表示される原因が簡単に解ると思います。
物事が”わからない”のは、”わかれて(分けて)考えてない”ということなので、焦らずに分解して考えるのが問題解決の近道ではないでしょうか。
③「メモ帳」の起動方法
①デスクトップ画面左下の[スタートボタン]>②[Windowsアクセサリ]>③[メモ帳]

まとめ
このページでは、エクセルの「引数」について、以下を解説してきました。
- ・引数の読み方は「ひきすう」。
- ・エクセルの引数は関数に必要な材料であり、カレーライスであれば材料の事。
- ・引数の構文は”=関数名(引数1,引数2,引数3)”と指定するのが基本。
- ・引数に指定出来る情報の種類はセル参照、セルの名前、定数、論理式、数式。
- ・引数にセル番地を指定する方法はセル番地、セル範囲、複数のセル番地、複数のセル範囲、共通するセル範囲。
- ・引数のセル番地を固定する方法は$記号を使う(絶対参照/複合参照)。
- ・引数に文字列を指定する場合に気を付ける点は"文字列"とダブルクォーテーションで括る。
- ・エクセルから「引数が多すぎる」とメッセージが表示された場合は数式を分解してみると解りやすい。
ご理解いただけましたでしょうか?
次は、あなたが実際にエクセル上で実際に作業してみて下さい。 自分の手を動かすことが、パソコンスキル向上の近道です。
この記事は以上です。