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【Excel】知らないと困る関数の基礎知識


(約文字)

2018-06-18 2019-07-25

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  • Excel
  • 関数
  • 基礎知識
【Excel】知らないと困る関数の基礎知識

【Excel】知らないと困る関数の基礎知識

  • 「関数を使おうとしたけど難しかった」
  • 「関数ってよく分からなくて苦手」
  • 「関数って名前から数学的で大嫌い」

これらを解決するのが関数の基礎知識です。

この記事を読めば、不足してるエクセルの関数で重要な基礎知識や基本的な使い方が理解できます。

更に、関数を使っても計算されない時の対処方法も解説します。

説明に使ったエクセルファイルです。ダウンロードして自身の端末で確認してみてください。

1.【情報】エクセルの関数とは?

関数とは何か?

エクセルの関数とは、エクセルにあらかじめ用意された便利な機能です。

関数を使えば、複雑な計算を自分で考える必要はなく、"関数名"と"引数"を指定するだけで答えを求めてくれます。

他者が作ったエクセルファイルのセル内に、以下のような文字が並んでいるのを見たことがあると思います。

=SUM(A10:A20)

この文字列がエクセルの関数です(あくまでも関数の一例です)。

関数の働きを図にしてみる

”関数”は、あなたの願いを叶えてくれる「ドラえもん」「自動販売機」「魔法の箱」と考えると解りやすいかもしれません。

エクセルの関数の働きを図解

ドラえもんは、のび太の要望を聞いて、四次元ポケットの中から、便利な道具を出してくれます。

自動販売機は、お客さんからお金を頂いて、販売機の中から、ボタンが押された商品を出してくれます。

エクセルの関数は、情報(引数)を渡せば、関数の中から、計算された結果(戻り値)を返してくれます。

この関係性を理解できれば、関数を使う基本的な考え方が理解出来たことになります。

一部の関数を知れば全ての関数が使える準備が整う

エクセルには、カテゴリ別に400以上の沢山の関数が用意されていて、全てを覚えるのは”無理”ですし、覚える必要も全くありません。

エクセル歴25年を超える私が、今まで使ったことのある関数は多くても50個程度で、初心者さんに覚えて欲しい思うよく使う関数はたったの6個だけです。

このページで紹介しているエクセルの関数の基礎知識を覚えれば、どんな関数でも使えるようになります。

2.【情報】関数はどこが便利なのか?

エクセルの関数は何が便利なのでしょうか?

例えば、エクセルには平均値を求めるAVERAGE関数が用意されていますが、「知らない場合」と「知っている場合」での計算方法を比較してみます。

AVERAGE関数を「知らない場合」の計算

=(対象1+対象2+対象3+...対象n)/n

と指定するのが一般的です。

もし平均を求めたい対象の数がセルA1~セルA100の100個あるとすれば、以下の様にとても長い式を指定する必要があります。

=(A1+A2+A3+A4+A5+A6+A7+A8+A9+A10+A11+A12+A13+A14+A15+A16+A17+A18+A19+A20+A21+A22+A23+A24+A25+A26+A27+A28+A29+A30+A31+A32+A33+A34+A35+A36+A37+A38+A39+A40+A41+A42+A43+A44+A45+A46+A47+A48+A49+A50+A51+A52+A53+A54+A55+A56+A57+A58+A59+A60+A61+A62+A63+A64+A65+A66+A67+A68+A69+A70+A71+A72+A73+A74+A75+A76+A77+A78+A79+A80+A81+A82+A83+A84+A85+A86+A87+A88+A89+A90+A91+A92+A93+A94+A95+A96+A97+A98+A99+A100)/100

この様に計算式の指定に計398文字も必要になってしまうので、時間がかかり入力ミスも発生するでしょう。

AVERAGE関数を「知っている場合」の計算

=AVERAGE(対象1:対象n)

と指定するのが一般的です。

上記と同じ条件だとしても、以下の様に長い式を指定する必要はありません。

=AVERAGE(A1:A100) (計17文字)

この様に計17文字だけですむので、時間もかからず入力ミスも少ないでしょう。

このように関数を知っていると「指定がシンプルになり計算ミスが減る」「後々のメンテナンスも楽になる」この2点がエクセルの関数が便利な点です。

3.【基礎知識】エクセルの関数で出来る事、出来ない事

エクセルの関数の基礎知識として「出来る事」「出来ない事」を整理しておきます。

【関数で出来る事①】関数を組合せれば複雑な計算ができる

関数を組合せれば複雑な計算ができる

複数の関数を組み合わせることで、複雑な計算も簡単に処理できます。

複数の関数を組み合わせるには「入れ子(ネスト)」という機能を使います。

簡単に言えば「関数の中に関数を入れる」ことです。

例えば、平均値を求めて(AVERAGE関数)、小数点以下を四捨五入する(ROUND関数)場合は、以下の様に指定します。

=ROUND(AVERAGE(A1:A10),0)

これで、平均値の四捨五入が出来ます。

この様に複数の関数を組み合わせると、かなり複雑な計算がひとつのセルの中で実行できるようになるので、入れ子(ネスト)は必須の知識です。

【関数で出来る事②】条件により処理を二つ以上に分岐することが出来る

条件により処理を二つ以上に分岐することが出来る

IF関数を使うことで、条件を判断して処理を二つ以上に分岐することが出来ます。

例えば、セルA1とセルA2の内容を比較して、もし同じだったらセルA1とセルA2の内容を足し算する、もし同じではなかったらセルA1からセルA2の内容を引き算する場合は、以下の様に指定します。

=IF(A1=A2(A1+A2,A1-A2)

この様にIF関数を使うと、分岐処理が出来るようになるので、IF関数は必須の知識です。

また、IF関数にIF関数を入れ子(ネスト)にすることで、3つ以上に分岐させることが可能になります。

例えば、以下の様に指定します。

=IF(A1=A2(A1+A2,IF(A1>A2,A1*A2,A1/A2))

【関数で出来ない事】関数を組合せでも”繰り返し作業”は出来ない

関数を組合せでも”繰り返し作業”は出来ない

エクセルの関数は「繰り返し同じ手順を自動で行なう処理」は出来ません。

エクセルで繰り返し作業を実現するのは「マクロ」「VBA」です。

マクロは実際の作業を「記録」し、ワンボタンで記録した作業を「再生」させることが出来る機能です。

マクロの裏では「VBA(Visual Basic for Applications)」というプログラム言語で記録されています。

この記録されたVBAのプログラムをカスタマイズすれば「同じ手順を自動で繰り返す」処理が出来るようになります。

4.【基礎知識】関数を指定する方法

関数を指定する場所と戻り値

関数を指定する場所は、あなたが関数によって答えを求めて表示したいセルに指定します

指定できる場所は、エクセルのワークシート内であれば、どのセルでも指定が可能です。

セルに表示される関数が計算した結果の答えのことを「戻り値(返り値)」と呼びます。

関数を宣言する方法

関数を使用する場合には「これから関数を指定するよ」と宣言する必要があります。

関数を入力するセルの先頭に「=(イコール記号)」を指定することで「これから関数を指定するよ」と、エクセルへ指示することが出来ます。

「=」は以下で入力できます。

【Shift】+【ほ】

ちなみに関数の宣言は、他社ソフトとの互換性を考慮し「@(アットマーク)」も使えます。

エクセルの前に流行った「Lotus1-2-3(ロータス ワン・ツー・スリー)」という表計算ソフトウェアでは”@関数名”と指定したので、後発のエクセルは"@"でも関数の宣言が可能なのです。

関数の基本構文

関数の基本的な書き方は以下です。

=関数(引数1,引数n)

これで必要な答えを返してくれます。

関数の引数

引数とは、関数に対して引き渡す必要がある情報です

引数が無い関数(例えば、今日の日付を返すTODAY関数や、円周率を返すPI関数)や、引数が複数ある関数(例えば、IF関数は3個、VLOOKUP関数は4個)があります。

引数を2つ以上指定する場合は、「,(カンマ記号)」で引数どおしを区切る必要があります。

引数に指定できる文字

引数に指定する文字は、基本的に「半角文字」です。

引数に「全角文字」を指定する場合は"文字列"とその文字列を「"」(ダブルクォーテーション記号)で囲む必要があります。

例えば、IF関数を使い、条件によって「合格」又は「不合格」と全角の文字列を表示させたい場合は、以下の様に指定します。

=if(A1>=50,"合格","不合格")

引数に指定するセル番地の参照先を固定する(絶対参照・複合参照)

引数にセル番地やセル範囲を指定し参照している関数を、他のセルにコピーや移動する場合、参照先のセル番地が自動で変化するのですが、これは"相対参照"と言いエクセルのデフォルトの機能です。

逆に、消費税率などの様に参照先のセル番地を固定したい場合は”絶対参照”や”複合参照”を指定することで、固定することが可能です。

5.【問題解決】関数を使っても計算されない時の対処方法

エクセルで関数を入力しても、以下に示すような状態になり計算されない場合があります。

  • 【パターンA】計算式がセルにそのまま表示される
  • 【パターンB】計算結果が更新されず答えが前のまま
  • 【パターンC】エラーメッセージが表示される

パターンごとの原因と対策方法は以下になります。

【パターンA】計算式がセルにそのまま表示される

あなたが指定した関数を含む計算式がセルにそのまま表示され、計算結果が求められない。

【パターンA】原因

セルの書式設定が"文字列"に設定しているので、指定した関数が文字列と勘違いされている。

【パターンA】対策

セルの書式設定を”文字列”から”標準”に設定しなおすと、文字列ではなく関数として認識してくれるので計算結果を表示してくれます。

【パターンB】計算結果が更新されず答えが前のまま

計算結果が更新されず新しく反映されない場合(答えが前のまま)

【パターンB】原因

エクセルのオプションで"手動計算"に設定しているので、自動で計算が行われません。

【パターンB】対策

エクセルのオプションでは自動計算がデフォルトですが、何らかの理由で手動計算に設定している場合があります。

自動計算に設定しなおすか、手動計算のままにしておきたい場合は【F9】キーを押し再計算させ計算結果を更新します。

【パターンC】エラーメッセージが表示される

#N/A、#VALUE!、#NUM!、#REF!、#DIV/0!、#NULL!、#NAME?などのエラーが表示されている。

【パターンC】原因

エラー毎に原因は変わります。

【パターンC】対策

エラー毎に対策方法は変わります。

エラーの原因と対策は #N/A#VALUE!#NUM!#REF!#DIV/0!#NULL!#NAME?、 の記事を参照してください。

まとめ

このページでは、エクセルの「関数の基礎知識」について、以下を解説してきました。

  • ・エクセルの関数とは、あらかじめ用意された機能で、複雑な計算を考える必要はなく、簡単に答えを求めてくれる。
  • ・関数の何処の何がどう便利なのかは「指定がシンプルになり計算ミスが減る」「後々のメンテナンスも楽になる」。
  • ・関数を指定するのは答えを表示するセルに先頭文字を「=(又は@)」にしその後に関数名を繋げて指定する。
  • ・引数とは関数に対して引き渡す必要がある情報で、指定が不要な関数から4つ必要な関数もある。
  • ・関数を使っても計算されないパターンは3種類あり、それぞれ対処方法は違ってくる。

ご理解いただけましたでしょうか?

次は、あなたが実際にエクセル上で実際に作業してみて下さい。 自分の手を動かすことが、パソコンスキル向上の近道です。

この記事は以上です。